就労移行支援とリワークの違いを6つのポイントで解説!活用と選び方も紹介

就労移行支援とリワークの違いを6つのポイントで解説!活用と選び方も紹介

職場の暗黙のルールになじめず、退職を選んだ経験を持つ方は少なくありません。再就職を考え始めたとき、「リワーク」と「就労移行支援」という名前を目にしたことがある方も多いと思います。

2つの選択肢は、雇用状況によって異なります。休職中で元の職場への復帰を目指す場合はリワーク、退職済みで新しい職場を目指す場合は就労移行支援が基本です。ただし、一定要件を満たす休職者は就労移行支援を利用できる場合もあります。

本記事では対象者・費用・期間・実施場所・支援内容・利用開始の流れという6つの観点で就労移行支援とリワークの違いを解説します。あわせて、自分の状況に合う制度の選び方まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

就労移行支援とリワークは「目的」が根本的に違う

就労移行支援とリワーク、それぞれの目的は以下のとおりです。

ポイント
  • 就労移行支援:退職済みであれば新しい職場への就職
  • リワーク:在職・休職中であれば今の職場への復職

それぞれの基本的な制度内容を見ていきましょう。

就労移行支援は障害者総合支援法に基づく就職支援サービス

就労移行支援は、障害者総合支援法を根拠とする障害福祉サービスのひとつです。一般就労を目指す障害や難病のある方が利用でき、原則として離職中の利用が中心です。ただし、一定要件を満たす休職者は復職支援として利用できる場合があります。

ポイント
  • 原則18歳以上65歳未満
  • 障害や難病がある方

市区町村への申請を経て支給決定を受け、サービスを利用するための証明書にあたる「受給者証」を取得する流れです。障害者手帳は必須ではなく、医師の診断書等で支給決定を受けられる場合があります。

必要書類は市区町村により異なるため、各市区町村の障害福祉窓口に問い合わせると確実です。

参考:e-Gov|障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

リワークは精神疾患で休職中の人が復職を目指すプログラム

リワークは「return to work(職場に戻る)」を略した言葉で、うつ病や不安障害などの精神疾患を原因として休職している方が、元の職場への復職を目指すプログラムです。

リワークには大きく以下の3種類があります。

種類 実施主体 費用
医療リワーク 医療機関(クリニック・病院) 健康保険適用
(自立支援医療で1割に軽減可)
職リハリワーク 地域障害者職業センター 無料
(公務員は対象外)
職場リワーク 企業内(試し出勤) 費用なし
(会社が実施)

リワークでは「在職中・休職中であること」が前提条件です。すでに退職している方は、リワークではなく、就労移行支援を検討してください。

出典:日本うつ病リワーク協会|「リワークプログラムとは」

就労移行支援とリワークの違いを6つの観点で比較

就労移行支援とリワークの違いを6つの観点から整理します。次の比較表で全体像を把握し、各項目の詳細を確認しましょう。

観点 就労移行支援 リワーク
対象者 原則として離職中(一定要件を満たす休職者は利用できる場合あり) 在職中・休職中
費用 所得に応じた4区分(0円〜37,200円) 医療リワーク:健保適用
職リハリワーク:無料
期間 原則2年(最大1年延長可) 医療リワーク:3〜7か月
職リハリワーク:4〜6か月程度
実施場所 全国の就労移行支援事業所 医療機関・地域障害者職業センター等
支援内容 就職スキル習得
就職活動支援
病状回復
復職に向けたリハビリ
利用開始の流れ 市区町村への申請→支給決定→通所開始 主治医の許可→事業所への申込み

①対象者の違い

両制度とも、障害や疾患のある方を支える点では共通しています。

就労移行支援は、障害や難病があり一般就労を希望する方が対象です。原則として離職中の利用が中心ですが、2024年度以降も、企業や医療機関による復職支援が見込めないなど一定要件を満たす休職者は、自治体の支給決定により復職支援として利用できる場合があります。

リワークは、うつ病や不安障害などの精神疾患で在職・休職中の方が中心となっています。地域障害者職業センターが実施する職リハリワークは、公務員は対象外です。

参考:

厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定Q&A」

厚生労働省|障害者の就労支援対策の状況

JEED東京障害者職業センター|リワーク支援

②費用の違い

就労移行支援の費用は、世帯の所得に応じて4区分に分かれます。

区分 月額上限
生活保護世帯 0円
住民税非課税世帯 0円
所得割16万円未満の課税世帯 9,300円
その他の課税世帯 37,200円

これに対して、リワークの費用は種類によって異なります。医療リワークは健康保険が適用され、自立支援医療制度を利用すれば自己負担を原則1割に抑えることが可能です。なお、地域障害者職業センターが実施する職リハリワークは無料で利用できます。

出典:厚生労働省|障害者の利用者負担

③期間の違い

就労移行支援の利用期間は原則2年間、必要と認められた場合は、最大1年間の延長が可能です。

リワークの期間は種類によって異なります。医療リワークは平均3〜7か月、短くて数週間から長くて年単位に及ぶ場合もあります。地域障害者職業センターの職リハリワークは4〜6か月が目安です。

参考:

④実施場所の違い

就労移行支援は全国の就労移行支援事業所で受けられます。事業所ごとに対応する障害種別や支援内容が異なるため、複数の事業所を見学し、自分に合うかを確認してみてください。

なお、就労移行支援事業所には大きく分けて2つのタイプがあります。

ポイント
  • 発達障害に特化した特化型
  • 幅広い障害種別に対応する総合型

発達特性に合わせた支援を受けたい方は、特化型を選択肢に入れてみるとよいでしょう。

一方、リワークは前述の3種類に応じて、医療機関や地域障害者職業センター、企業内のいずれかで実施されます。就労移行支援事業所がリワークプログラムを提供する場合もあるため、名称だけでは区別がつかないことも少なくありません。

⑤支援内容の違い

就労移行支援は就職に向けた職業準備から就職活動までを一貫して支援します。具体的には以下の内容です。

ポイント
  • ビジネスマナー
  • パソコンスキル
  • コミュニケーション訓練
  • 自己理解プログラム
  • 履歴書作成
  • 面接練習

病状の安定よりも「働く準備」と「就職実現」がゴールです。

医療リワークでは、認知行動療法やストレスマネジメントなど、病状の安定と再発予防を重視します。一方、地域障害者職業センターの職リハリワークや企業内リワークは実施主体と内容が異なるため、すべてのリワークが医学的リハビリを中心とするわけではありません。(出典元:日本うつ病リワーク協会JEED

⑥利用開始の流れの違い

就労移行支援の利用開始の流れは次のとおりです。

  • 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請する
  • 支給決定(受給者証の発行)を受ける
  • 事業所を見学・体験利用して選ぶ
  • 契約を結び、通所を開始する

就労移行支援は医師の許可が必須ではなく、自分で申請できます。ただし支給決定のために、医師の診断書等が必要となる場合があります。

一方、リワークを利用するには、主治医や担当医の許可が欠かせません。地域障害者職業センターの職リハリワークでは、本人・企業・医師の三者が合意したうえで利用を開始します。

リワークと就労移行支援、自分はどちらを使えばいい?

自分はどちらを使えばいいのか、判断の分かれ目は3つです。

ポイント
  • 分かれ目①:今の雇用状況が在職・休職中か退職済みか
  • 分かれ目②:支援してほしいのが病状回復か就職スキルの習得か
  • 分かれ目③:目標が同じ職場への復帰か新しい働き方を探すことか

それぞれを順に確認していきましょう。

分かれ目①:今の雇用状況が在職・休職中か退職済みか

雇用状況は制度選択の大きな目安ですが、在職か退職済みかだけで一律に決まるわけではありません。休職者が就労移行支援を利用できる例外もあるため、自治体や事業所に確認しましょう。

ポイント
  • 在職中・休職中の方:元の職場への復職を目指すならリワークが選択肢です。
  • 退職済み・離職済みの方:就労移行支援を使って新しい職場を探せます。

「リワークを検討していたが、退職してしまった」という方にも、就労移行支援という選択肢が残されています。退職後に支援を受けながら、新しい働き方を目指せる制度として活用できるでしょう。

分かれ目②:支援してほしいのが病状回復か就職スキルの習得か

認知行動療法や症状の安定化、服薬管理など医療的なリハビリが必要な状態なら、医療リワークが向いています。症状が落ち着いており、ビジネスマナーや自己理解・コミュニケーションスキルなど就職に向かう場合は、就労移行支援が適しています。

両方のニーズがある場合は、まず主治医に相談してみてください。現在の体調や復職・就職の見通しを整理する手がかりが見えてくるでしょう。

また、発達特性に向き合いながら働く準備を進めたい方には、自己理解プログラムを備えた就労移行支援が役立ちます。

分かれ目③:目標が同じ職場への復帰か新しい働き方を探すことか

「同じ職場に戻るべきか」、「新しい場所を探すべきか」、と目標が定まらないと感じる方も少なくありません。元の職場への復職を目指しているならリワーク、新しい職場や働き方を探しているなら就労移行支援が選択肢です。

発達特性による職場でのつまずきが退職の背景にあるなら、特性に合う環境を新たに選ぶほうが長く働き続けやすいでしょう。支援機関の相談員や主治医に話してみると、自分の状況を整理する手がかりが見えてきます。

就労移行支援を通じて新しい働き方を目指したいものの、自分に合う事業所の選び方に迷う方は、当サイトの無料診断をお試しください。事業所の比較表やランキングも参考にしていただけます。

就労移行支援の選び方

就労移行支援の事業所には大きく2つのタイプがあります。

  • 総合型事業所:多様な障害種別に幅広く対応
  • 発達障害特化型事業所:特性の自己理解と環境設定に特化

それぞれの特徴と、合わせて特化型を選ぶ理由も解説します。

総合型事業所は多様な障害種別に幅広く対応

総合型の事業所は、幅広い障害種別の方を対象としており、地域に多く存在します。事業所の数が多い分、自宅から通いやすい場所を見つけやすいのも特徴です。

ただし、個々の特性への細かい対応は事業所によって差があります。発達特性に合わせたプログラムが用意されているかは事業所ごとに異なるため、見学のときに聞いてみると安心です。

発達障害特化型事業所は特性の自己理解と環境設定に特化

発達障害特化型の事業所は、「自己理解」と「環境設定」の2つを軸に支援しています。

自己理解とは、自分の発達特性を知り、過去のつまずきパターンを言語化していくことです。環境設定では、主に次のようなことを実施します。

ポイント
  • 合理的配慮(働きやすいよう職場環境や業務を調整すること)の伝え方
  • 暗黙ルールを言語化するトレーニング
  • 感情コントロールの練習

これらを通じて自分が働きやすい状況を整える力を身につけます。

発達特性がある方が特化型を選ぶべき3つの理由

「また同じ状況になりたくない」と感じている方にこそ、特化型事業所には次の強みがあります。

ポイント
  • 発達特性に沿った内容で、つまずきパターンへの対策が立てやすい
  • 特性に詳しい支援者の助言は、自己理解にもつながる
  • グループワークや就職活動の練習を、同じ背景の方と進められる

ディーキャリアも選択肢の一つですが、ほかにも特化型事業所はあります。比較しながら自分に合う事業所を選んでみてください。

まとめ

就労移行支援とリワークは、雇用状況と目標を踏まえて選びます。休職中はリワークが基本ですが、企業や医療機関による復職支援が見込めないなど一定要件を満たす場合は、自治体の支給決定により就労移行支援を利用できることがあります。退職済みで新しい職場を目指す場合は、就労移行支援が基本の選択肢です。

退職の背景に発達特性がある場合は、総合型ではなく特化型の事業所を選ぶことがおすすめです。次の職場で長く働き続けるためのポイントになりえます。

どの事業所が自分に合うかは、当サイトの比較表を活用して確認してみてください。

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