「職場でミスが続いた」
「雑談の輪になじめなかった」
「暗黙のルールが読めなかった」
このような経験から、次の職場では同じつまずきを避けたいと考えている方もいるのではないでしょうか。働きたい気持ちはあるものの、自分に合う働き方や職場環境が分からない場合、就労移行支援は選択肢のひとつになります。
しかし、大阪には多くの事業所があるため、どこを選べばよいか迷う方も少なくありません。
本記事では、事業所を選ぶ5つの軸と大阪のおすすめ10事業所を中立な立場で解説します。読むと、自分の特性や目標に合う事業所を絞り込む手がかりが見えてきます。
就労移行支援の基本と受けられる条件
まず、就労移行支援とはどのような制度かを確認しましょう。基本として押さえたいポイントは以下の3つです。
- 就労移行支援は障害者総合支援法に基づく就職支援サービス
- 利用できる人の条件と手帳の要否
- 利用期間・費用負担の基本
それぞれを順に確認していきましょう。
就労移行支援は障害者総合支援法に基づく就職支援サービス
厚生労働省によると、就労移行支援は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。事業所で次の訓練と支援を受けられます。
- 職業訓練
- 就職活動支援
- 定着支援
これらを一体的に受けることで、一般就労を目指します。
利用には市区町村への申請と「受給者証(サービスを利用するための証明書)」の取得が必要です。受給者証が交付されると、事業所と契約を結んで通所を開始する流れになります。
利用できる人の条件と手帳の要否
就労移行支援の対象は、次のとおりです。
- 障害や難病がある
- 離職中(求職中)である
在職中・休職中の利用可否は状況や自治体の判断によって異なるため、まずは市区町村の障害福祉担当窓口に確認しましょう。
なお、障害者手帳は必須ではありません。医師の診断書等によって市区町村の支給決定を受けられる場合もあります。必要書類は市区町村により異なるため、障害福祉担当窓口で確認してみてください。
利用期間・費用負担の基本
就労移行支援の利用期間は原則2年間ですが、必要と認められれば、最大1年の延長が可能です。また、費用は世帯の所得状況に応じて、以下の4区分に分かれます。
| 区分 | 対象 | 月額上限 |
|---|---|---|
| 生活保護世帯 | 生活保護受給中 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 所得割16万円未満の課税世帯 | 9,300円 |
| 一般2 | その他の課税世帯 | 37,200円 |
障害福祉サービスの自己負担には、所得に応じた月額上限があります。上限額は世帯の収入状況によって異なるため、実際の負担額は市区町村の障害福祉担当窓口で確認しましょう。
大阪で就労移行支援事業所を選ぶ5つの軸
事業所選びで確認したい軸は以下の5つです。
- 定着率と就職実績で選ぶ
- プログラム内容と対応障害種別で選ぶ
- 通いやすさ(エリア・駅近)で選ぶ
- スタッフの専門性と支援の手厚さで選ぶ
- 費用補助・交通費支給の有無で選ぶ
それぞれの内容を見ていきましょう。
定着率と就職実績で選ぶ
事業所選びの判断の起点となるのが、次の数値です。
- 就職後6か月・1年後の継続就業率(定着率)
- 就職者数・就職率の確認
定着率が高い事業所は、就職後のフォロー体制が充実している傾向といえます。
ただし、定着率や就職者数は、集計期間・対象者・全国値か拠点別かによって意味が変わります。数字を見るときは、「いつの実績か」「何人を対象にした数字か」「大阪の拠点実績か」を確認しましょう。
数字だけで決めず、見学時に「就職後にどんな相談に乗ってもらえるか」を聞くと安心です。
プログラム内容と対応障害種別で選ぶ
就労移行支援事業所によって提供する主なプログラムは、以下のとおりです。
- パソコンスキル
- コミュニケーション訓練
- SST(人とのやりとりを練習するソーシャルスキルトレーニング)
自分の特性や得意・不得意を整理するプログラムなど、内容にも特色が見られます。また、就労移行支援事業所のタイプは、大きく分けて2つです。
- 精神・知的・身体・発達など幅広い障害の種類に対応する総合型
- 発達特性に合わせて作られたプログラムを提供する特化型
自分の特性や目指す職種に合うプログラムがあるかを確認すると、候補を絞り込みやすくなります。
通いやすさ(エリア・駅近)で選ぶ
就労移行支援は、週数回から段階的に通所日数を増やすケースもあれば、安定して毎日通うことを目指すケースもあります。
そのため、立地は通い続けることに大きく影響するのです。梅田・本町・天王寺・新大阪・なんば・京橋など、大阪の主要エリアには各事業所の拠点が分布しています。
LITALICOワークスやウェルビーのように複数拠点を持つ事業所なら、自分が通いやすいエリアや駅に拠点が見つかりやすいでしょう。通い始めてから「遠くて続かない」とならないように事前確認が大切です。
スタッフの専門性と支援の手厚さで選ぶ
精神保健福祉士・社会福祉士・就労支援員など、福祉や心のサポートの専門資格を持つスタッフが在籍しているかもポイントです。発達障害への理解や支援経験があるかは事業所によって差があります。
見学や体験利用を活用すると、次のような現場の状況を確認できます。
- スタッフとのコミュニケーションのとりやすさ
- 一人ひとりの相談時間
- グループ訓練のバランス
実際に足を運ぶことで、文字情報だけでは分からない相性が見えてくるので、ぜひ体験してみましょう。
費用補助・交通費支給の有無で選ぶ
一部の事業所では、交通費補助や昼食提供など、通所にかかる負担を軽減する制度を用意しています。ただし、補助の有無や金額、対象条件は事業所によって異なります。
なお、市区町村によっては障害福祉サービス利用者向けの移動支援制度が設けられている場合もあります。各市区町村の障害福祉担当窓口で確認してみると、自分が使える補助の全体像が見えるでしょう。
就労移行支援を通じて新しい働き方を目指したいものの、大阪で自分に合う事業所の選び方に迷う方は、当サイトの無料診断をお試しください。事業所の比較表やランキングも参考になります。
大阪の就労移行支援事業所10選
大阪府内に拠点を置く就労移行支援事業所10社を紹介します。各事業所をチェックすることで自分にあった事業所を見つけましょう。
①ディーキャリア
出典元:デコボコベース株式会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市(都島区、浪速区、阿倍野区、北区)、高槻市、枚方市、岸和田市(計10拠点) |
| 対象障害 | 発達障害に特化、精神障害にも対応 |
| 営業時間 | 月〜金 9:00〜18:00(受付)、サービス提供時間 10:00〜16:00(※祝日は縮小営業の拠点あり) |
| 就職実績 | 就職後6か月定着率93.4%(2024年度、ディーキャリア全体) |
| 職種、業種 | 事務職、IT関連、映像制作、製造業、官公庁など |
ディーキャリアは発達障害専門の事業所で、ASD・ADHD等の特性に合わせた支援を提供しています。プログラムはライフスキル→ワークスキル→リクルートの3段階構成です。生活リズムの安定から自己理解、職業スキルの習得、就職活動まで、段階的に取り組める流れになっています。
②LITALICOワークス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市(北区、淀川区、都島区、中央区、浪速区、阿倍野区)、高槻市、枚方市、堺市、池田市、大東市(現在16拠点)。新大阪北口は2026年8月開所予定 |
| 対象障害 | 精神、発達、身体、知的、難病等の幅広い障害種別に対応する総合型事業所(障害者手帳がなくても医師の診断と定期通院があれば利用できる場合あり) |
| 営業時間 | 月〜土 8:30〜17:00(受付)、プログラム提供:月火木 9:00〜15:00 / 水金土、第3日曜、祝日、月最終営業日 9:00〜12:00(※大阪梅田拠点値) |
| 就職実績 | 就職者数2,585名(2025年度、全国値)、累計20,000名以上(全国値)、定着率90.7%(2025年度、就職6か月後、全国値) |
| 職種、業種 | 事務系53%、作業系18%、販売系12%、技術系4%、その他13%(2025年度、全国) |
LITALICOワークスは大阪府内に複数拠点を展開する大手の総合型事業所です。精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、難病など幅広い対象に対応しており、プログラムの選択肢が多い点が特徴です。
③Kaien
出典元:Kaien公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市(北区、淀川区、阿倍野区)計3拠点(就労移行支援のみ) |
| 対象障害 | 発達障害に特化、精神障害、知的障害にも対応 |
| 営業時間 | 要問い合わせ |
| 就職実績 | 就職率86%、定着率95%(就職後半年)、累計就職者約2,000人超(全国値) |
| 職種、業種 | 事務オフィスワーク(約半数)、プログラミング、IT関連、デザイン、クリエイティブ、経理、総務、人事労務など多数 |
Kaienは発達障害特化型で、事務、IT職など、デスクワーク系を目指す方に向いたプログラムが用意されています。
④atGPジョブトレ
出典元:atGPジョブトレ公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 梅田、心斎橋(IT、Web系) |
| 対象障害 | 5コース制(うつ症状、発達障害、統合失調症、聴覚障害、難病) |
| 営業時間 | 月〜金 9:00〜18:00(受付)、サービス提供時間 10:00〜16:00(※梅田拠点値) |
| 就職実績 | 就職率97%(2023年4月〜2024年3月)、定着率93%(2023年就職者の半年後、全国値)、梅田拠点の半年定着率100%(2022年度以降、公式掲載値) |
| 職種、業種 | 事務職中心(一般事務、専門事務、営業、経理、総務)、IT、Web系はIT、Web心斎橋拠点が担当 |
atGPジョブトレは障害種別ごとに5つのコースが用意されており、自分の症状や特性に合わせた訓練を受けやすい点が特徴です。
⑤エンカレッジ
出典元:エンカレッジ公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 本町、心斎橋、天満橋 |
| 対象障害 | 発達障害に特化した事業所 |
| 営業時間 | サービス提供時間:平日9:30〜16:00(月〜金)、受付時間:要問い合わせ |
| 就職実績 | 就職率95%(未経験者、自己都合による途中退所者を除く)、定着率93.7%(入社半年後、全国値)、就職者数56名(2025年度) |
| 職種、業種 | 職種:事務補助、庶務業務、データ入力、軽作業(封入、仕分け等) 業種:陸運業、製造業、金融保険業、不動産業、情報通信業、流通小売業など |
エンカレッジは、関西で10年以上にわたり発達障害に特化した支援を行っている事業所です。
⑥ウェルビー
出典元:ウェルビー公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市(天王寺、梅田、新大阪、淡路、京橋、本町、阿倍野)、枚方市、泉佐野市(計9拠点) |
| 対象障害 | 統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、発達障害、身体障害、知的障害、難病に対応する総合型事業所 |
| 営業時間 | 月〜土 9:00〜18:00(開所)、プログラム提供時間:月水金土祝 10:00〜14:00 / 火木 10:00〜16:00(※事業所により一部異なる) |
| 就職実績 | 累計就職者数10,158名(2026年6月現在、全国値)、半年定着率90.8%(2024年10月〜2025年9月就職者対象、全国値)、2024年度就職者数1,333名(全国値) |
| 職種、業種 | 事務、管理系、軽作業、清掃、販売、サービス、医療、福祉、IT、クリエイティブなど |
ウェルビーは大阪府内9拠点を展開する大手総合型企業で、発達障害のある方向けに、職場での対人場面を想定したJSTプログラムも導入しています。
⑦ミラトレ
出典元:ミラトレ梅田公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市北区(梅田)の1拠点のみ |
| 対象障害 | 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病に対応する総合型事業所 |
| 営業時間 | 月〜金 8:45〜17:45(営業)、サービス提供時間 10:00〜16:00 |
| 就職実績 | 就職率94.2%、半年定着率96%(公式サイト掲載値、全国値) |
| 職種、業種 | 事務職、IT、クリエイティブ系 |
ミラトレはパーソルダイバースが運営し、同グループのdodaチャレンジ(障害者向け転職エージェント)との連携が強みです。
⑧Cocorport
出典元:Cocorport公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪梅田、大阪なんば駅前、大阪京橋、大阪千里中央駅前、大阪天王寺駅前、高槻駅前、枚方市駅前(現在7拠点)。大阪堺東駅前Officeは2026年9月1日開所予定 |
| 対象障害 | 精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病に対応する総合型事業所(※障害者手帳がない方も対象) |
| 営業時間 | 月〜土 9:00〜18:00(受付)、サービス提供時間 10:00〜15:00(水曜午後は閉所) |
| 就職実績 | 2025年度就職者数955名(全国値)、累計就職者数6,030名(2026年7月時点、全国値)、6か月定着率87.9%(2025年4月〜2026年3月、全国値) |
| 職種、業種 | 金融、流通小売、製造、IT関連など(※就職先企業数1,566社/2022年6月時点) |
Cocorportは交通費補助や昼食提供があり、条件に合えば通所にかかる経済的負担を抑えやすい点が特徴です。
⑨CONNECT
出典元:CONNECT公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 大阪市(新大阪、梅田、なんば、天王寺)、堺市、豊中市、枚方市(計7拠点) |
| 対象障害 | 精神障害、発達障害専門に特化した事業所(※知的障害も個別にプログラムを組み立てることで利用できる場合あり) |
| 営業時間 | 平日、土曜 9:00〜16:30(※堺東は平日のみ、日祝休み) |
| 就職実績 | 6か月職場定着率87%(2020年度実績、全国値) |
| 職種、業種 | 事務職、製造職、軽作業、介護職など |
CONNECTは精神、発達障害専門の事業所で、4段階コース体系と在宅訓練にも対応している点が特徴です。
⑩ミライエ
出典元:ミライエ公式サイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 北区、都島区、阿倍野区、天王寺区(計5拠点) |
| 対象障害 | 精神障害、発達障害、ひきこもり状態の方に対応する事業所 |
| 営業時間 | 平日 10:00〜18:00(受付時間) |
| 就職実績 | 就職定着率92.9%(ミライエ公式公表値、2023年実施調査、調査人数236名)、累計就職者数314名以上(2025年4月時点) |
| 職種、業種 | 事務、オフィスワーク、製造業、サービス業、医療、介護、飲食業、IT、エンジニアなど多職種 |
ミライエは週1回1時間から利用できる柔軟な通所スタイルが特徴です。
よくある質問
就労移行支援を検討する方からよく寄せられる質問に回答します。
就労移行支援の「ひどい」「やばい」は本当?
就労移行支援に対して「ひどい」「やばい」と感じる背景には、さまざまな要因があります。
- 事業所の支援方針が合わなかった
- プログラム内容が期待と違った
- スタッフとの相性が合わなかった
事業所によって支援内容や雰囲気は異なるため、事前に見学や体験利用を行い、自分に合うかを確認することが大切です。
紹介した5つの軸から候補を絞ったうえで、体験利用や見学を通じて実際の雰囲気を確かめると、自分に合う事業所が見えてきます。
グレーゾーンの人に向いている仕事は?
グレーゾーンとは、明確な発達障害の診断がついていないものの、発達特性による働きづらさを感じている状態を指す言葉として使われることがあります。
特定の職種を断定することは難しいため、「自分の特性・得意・不得意を理解すること」から確認しましょう。就労移行支援には、自分の特性や得意・不得意を整理するプログラムがあり、適職選びに役立ちます。
体験利用や見学を通じて、各事業所のプログラム内容を確かめてみると、自分の目指すべき方向性が見えてきます。
大阪で長く働き続けるために自分にあった事業所を選ぼう
大阪の就労移行支援事業所を選ぶポイントは、定着率・プログラム内容・通いやすさ・スタッフ専門性・費用補助という5つの軸です。対応できる障害の種類や支援の方向性は事業所ごとに大きく異なります。
本記事で紹介した10社から候補を2〜3社に絞り、体験利用や見学で雰囲気を確かめてみてはいかがでしょうか。
大阪で就労移行支援を検討しているものの、どの事業所が合うか迷う場合は、当サイトの比較表を活用してみてください。